訪問看護ステーションのホームページに、何をどこまで載せればよいのか迷っている方は多いと思います。開設したものの、思うように新規のご相談や紹介につながらないというお悩みもよくうかがいます。
結論からお伝えすると、訪問看護のホームページは「集客のチラシ」ではなく、利用者・ご家族と、紹介してくださる関係者に必要な情報を届ける窓口として作ると、相談や紹介が入りやすくなります。
私は元看護師・保健師のWebデザイナーです。訪問看護での勤務経験はありませんが、がん専門病院の病棟と、保健師としての家庭訪問の現場にいました。
今は千葉を拠点に、個人事業主・小さな事業所のホームページ制作と運用のお手伝いをしています。
この記事では、制度の一次資料と制作の実務の両方から、訪問看護ステーションのホームページで押さえたいポイントを整理します。
訪問看護のホームページには「3種類の読者」がいます
まず前提として、訪問看護のホームページを見るのは、主に次の3者です。
| 読者 | 知りたいこと |
|---|---|
| 利用を考えているご本人・ご家族 | 利用の流れ・費用・どんな人が来てくれるか |
| ケアマネジャー・病院の退院支援担当・医師などの連携関係者 | 対応エリア・受け入れ状況・対応できる処置 |
| 求職者 | 働き方・体制・職場の雰囲気 |
そして訪問看護は、利用者が自分だけで申し込むサービスではありません。主治医が必要性を認めて交付する指示書に基づいて提供され、主治医との密接な連携が前提とされています(厚生労働省「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準について」)。
だから目指す状態は、「お客様を集める」よりも、新規のご相談が入りやすく、連携先から紹介先として選ばれやすいホームページです。

「集客」より「相談と紹介の入口」。
言葉を置き換えるだけで、載せるべきものが見えてきます。
まず確認:重要事項のウェブサイト掲載
載せる内容の前に、確認しておきたい決まりがあります。
指定訪問看護事業者は、運営規程の概要や看護師等の勤務体制といった、利用申込者の選択に役立つ重要事項を、事業所内への掲示に加えて原則としてウェブサイトに掲載することとされています(「指定訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準」第24条)。この規定の適用が猶予されていた経過措置は、2025年5月31日まででした。
ただし、介護保険と医療保険のどちらの指定かなどによって、対象や掲載の仕方の細かい扱いは異なります。ご自身の事業所がどこまで対応すべきかは、基準の本文と指定権者への確認をおすすめします。
ホームページは「あった方がよいもの」から「情報を出す場所として求められるもの」に近づいています。これから作る・作り直すなら、重要事項の置き場所も設計に含めておくと二度手間になりません。
紹介・相談につながる8つの掲載項目
連携関係者やご家族が、問い合わせの前に確認したい情報は共通しています。次の8つは、探さなくても見つかる場所に置いてください。
- 対応エリア(市区町村・地域名まで具体的に)
- 新規の受け入れ状況
- 営業時間と、緊急時・24時間対応の有無
- 対応できる疾患・医療処置・利用者層
- 介護保険・医療保険・公費への対応
- 看護師・リハビリ職などの職員体制
- 利用開始までの流れ(指示書・ケアマネジャー経由の場合など)
- 医療機関・ケアマネジャー向けの相談窓口
顔写真や事業所の考え方の紹介も必要です。ただ、訪問看護で先に確認されるのは「誰が」よりも「誰が、どのような体制で支えてくれるか」です。

見直すときは「電話をかける前に知りたいことが、全部載っているか」で点検してみてください。
利用者・ご家族へ:利用の流れと費用を先に示す
ご本人・ご家族の多くは、訪問看護を初めて利用します。介護保険と医療保険のちがい、自己負担のめやす、申し込みから訪問開始までの流れを、順番に説明するページがあると安心につながります。
専門用語は、消すのではなく説明を添えます。例えば「拘縮」なら「拘縮(関節が固まって動かしにくくなる状態)」のように書けば、ご家族にも伝わり、検索の言葉としても残ります。

説明の言葉に迷ったら、ご家族に口頭で話すときの言い方を、そのまま文章にしてみてください。
医療・介護関係者へ:受け入れ体制と対応範囲を正確に
ケアマネジャーや退院支援の担当者は、限られた時間で「この方をお願いできるか」を判断しています。この読者に対しては、専門用語を言い換えるよりも、正確な用語で速く伝わることが大切です。
おすすめは、トップページの入口を「利用をご検討中の方へ」「医療・介護関係者の方へ」と分けることです。同じ体制の情報でも、読者ごとに書き方を変えられます。
スタッフ紹介と「利用者の声」で気をつけること
スタッフの顔・経歴・仕事への考え方を載せることには価値があります。体と心を預ける仕事だからこそ、「どんな人が来てくれるのか」は、ご本人・ご家族の安心材料になります。
私は保健師のころ、自転車で地域のお宅を訪問して、健康のご相談をうかがっていました。診察室では伝えきれなかった生活の不安を、家庭訪問の場でゆっくりうかがうことがありました。
話を聞くこと自体が安心につながる場面を、私は何度も経験しました。スタッフ紹介でも、経歴だけでなく「どう関わるか」まで書くことで、その安心を会う前に届けられます。
一方で、利用者の声の扱いには注意が必要です。病歴や心身の状態に関わる情報は特に配慮が必要な個人情報で、匿名やイニシャルにしても、地域や病状などの組み合わせから本人が推測できてしまう場合があります(参考:個人情報保護委員会「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」)。
また、個別の体験談は、それだけではサービスの効果の客観的な裏付けにはならないとされています(消費者庁「表示に関するQ&A」)。
載せる場合は、次の形をおすすめします。
- 症状の変化ではなく、説明の分かりやすさ・対応・安心感などの「感想」を中心にする
- 掲載の目的と範囲を説明して、同意をいただく
- 病名・年齢・地域・家族構成などを、必要以上に組み合わせない
一般的なお客様の声の考え方は、「お客様の声」はなぜ大事?ホームページに載せるべき理由と集客につながる書き方にまとめていますが、訪問看護では上記の配慮が優先です。

声を載せる前に「この内容でご本人が特定されないか」を、もう一人の目でも確認してもらいましょう。
検索とAIに見つけてもらう工夫:地域名・コラム・一次情報
訪問看護は対応エリアが決まっているサービスなので、探す側も「地域名+訪問看護」のように地域を付けて検索します。ページのタイトルや本文に、対応している市区町村名を自然に入れておきます。
実際に、私のお客様でオンライン対応のサービスに地域名を加えたところ、「地域名+サービス名」の検索から問い合わせにつながった事例がありました。
公開後は、ご家族からよく聞かれる質問をコラムにして積み重ねると、検索からの入り口が増えていきます。私のお客様の行政書士事務所では、コラムを毎月続けたことで、検索からのクリック数が約2倍になりました。
Googleの検索結果にAIの要約が出るようになり、ChatGPTなどのAIに直接「◯◯市で看取りまで対応してくれる訪問看護は?」と相談する人もいます。AIは、どのホームページにも書いてある一般的な説明より、そのステーションにしか書けない情報を拾いやすいと言われています。
訪問看護のホームページで載せられる一次情報には、次のようなものがあります。
- 実際に受けている医療処置と、過去1年の受け入れ件数(例:在宅酸素◯件、看取り◯件)
- ご依頼から初回訪問までにかかった日数の目安
- ご家族からよく聞かれる質問と、そのステーションとしての答え
- 管理者やスタッフが、現場で大事にしていることを自分の言葉で
件数や事例は、個人が特定されない形で載せます。「利用者の声」で触れた配慮は、ここでも同じです。AIの回答に名前を出してもらうための整え方は、LLMOとは?AIにお店や会社の名前を出してもらうホームページの作り方で詳しくお伝えしています。
私自身、起業したばかりのころに作った最初のホームページはまったく反応がなく、検索の数字を調べ始めたことが今の仕事の原点でした。ホームページ全体で信頼を積み上げる考え方は、「EEATとは」ホームページに問い合わせが来る信頼の作り方にまとめています。
まとめ:3種類の読者に、必要な情報を届けましょう
- 読者は3種類です。ご本人・ご家族、ケアマネジャーなどの連携関係者、求職者に分けて考えます
- 重要事項のウェブサイト掲載の決まりを確認したうえで、8つの掲載項目を探さなくても見つかる場所に置きます
- 利用者の声は、感想中心・掲載への同意・情報の組み合わせへの配慮を守って載せます
- 地域名・コラム・ステーションにしか書けない一次情報で、検索とAIからの入り口を育てます
「うちのホームページはどこから直せばいいのか」と迷ったら、お気軽にご相談ください。現在のホームページを拝見して、改善のポイントをお伝えします。
千葉市を拠点にホームページ制作をしているskymotherが、ステーションの体制と考え方が伝わるホームページづくりをお手伝いします。


