「お問い合わせの自動返信メールが、お客様に届いていない」「調べたら、迷惑メールに入っていた」。ホームページを持っていると、メールの設定で手が止まることがあります。

自動返信メールが届かないときは、まずメールがどこまで届いたのかを分けて考えます。迷惑メールに入る場合に関わるのが、届いたメールが本物かどうかを受け取った側が確かめる、SPF・DKIM・DMARCという3つの設定です。

郵便局にたとえると、SPFは「この郵便局から出します」という宣言、DKIMは手紙に押す封印のハンコ、DMARCは不合格の手紙の扱いを書いたメモにあたります。

私は千葉市でホームページ制作と運用サポートをしています。保守を担当しているお客様のホームページで、フォームの自動返信が迷惑メールに入り、調べるとDKIMの設定がOFFになっていたことがありました。

この記事では、私のホームページの実際の画面を見ながら、届かない原因の見分け方と確かめ方をお伝えします。

SPF・DKIM・DMARCは「本物の手紙か」を確かめる3つの設定です

ドメイン(ホームページやメールの住所)には、行き先などを書いた住所録があります。この住所録をDNS(ディーエヌエス)といいます。

SPF・DKIM・DMARCは、どれも送り主のドメインの住所録に書かれています。メールが届くと、受け取った側がその住所録を開いて確かめます。

▼1通のメールが届くまでの流れです。

1通のメールが届くまでの流れの図。送り主、郵便局、受け取る側、入れる場所の順に進み、MXは受け取る側の住所録、SPF・DKIM・DMARCは送る側の住所録に書かれている

3つの役割は次のとおりです。

名前郵便でいうと確かめること
SPF「この郵便局から出します」という宣言宣言どおりの場所から出されたメールか
DKIM送り主が押す封印のハンコ本物の送り主のメールか、途中で中身が書き換えられていないか
DMARC不合格の手紙の扱いを書いたメモ結果が差出人の名前と合っているか、不合格のときにどう扱ってほしいか

3つの名前を覚える必要はありません。
まずは「郵便局」「ハンコ」「メモ」の3語で読むと、設定画面の説明をつかみやすくなります。

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メールは「郵便局に預ける→運ぶ→検査する」の順番で届きます

お店がお客様へメールを1通送るときの流れを、順番にたどります。

  1. 郵便局に預けます:書いたメールを、自分のメールサーバー(メールを送り届けるコンピューター)に預けます
  2. ハンコを押します:DKIMを設定していれば、ここで封印のハンコが押されます
  3. 届け先を調べます:相手のドメインの住所録を開き、MXレコードという行で届け先を読みます
  4. 相手の郵便受けまで運びます:MXレコードに書かれた場所へメールを運びます
  5. 受け取る側が検査します:Gmailなどが送り主の住所録を開き、SPFとDKIMを確かめます
  6. 入れる場所を決めます:検査の結果やメールの中身を見て、受信箱か迷惑メールフォルダへ入れます

3番に出てきたMXレコードは、メールの届け先を書いた行です。Googleが公開している「Dig(ディグ)」という道具で、誰の住所録でも読むことができます。

▼メールの届け先を書いた行です。

GoogleのDigでMXレコードを調べた画面

EXCHANGEの欄にある名前が、私のドメイン宛のメールの届け先です。Digは住所録を読むだけの道具なので、調べても設定は何も変わりません。

SPFは「うちのメールはこの郵便局から出します」の宣言です

SPF(エスピーエフ)は、住所録のメモ欄にあたるTXTという行に書く宣言です。私のドメインをDigで調べると、次の1行が出てきます。

▼「この郵便局から出します」の1行です。

GoogleのDigで調べたSPFの行。v=spf1 include:_spf.conoha.ne.jp ~all

1行の中身は、3つに分けて読めます。

  • v=spf1:これはSPFの行です、という印です
  • include:_spf.conoha.ne.jp:私が使っているConoHaの郵便局から出します、という宣言です
  • ~all:それ以外から届いたものは、あやしいと扱ってください、というお願いです

メールを受け取った側は、運ばれてきた場所がこの宣言に含まれているかを確かめます。宣言のない場所から届くと、あやしいメールと判断される材料の1つになります。

DKIMは送り主が押す「封印のハンコ」です

DKIM(ディーキム)は、送り主がメールに押す封印のハンコです。ハンコの見本は住所録に置いてあり、受け取った側が届いたメールのハンコと見比べます。

▼サーバーの画面に出ているSPFとDKIMの行です。

サーバーのDNS情報の画面に並ぶSPFとDKIMの行

下の行の「v=DKIM1」で始まる長い文字列が、ハンコの見本です。見本なので、誰に読まれても問題のない情報です。

確かめることは2つあります。薬の箱を受け取ったときを思い浮かべると、2つを分けやすくなります。

  • 箱の表示:本当にそのメーカーの薬かを見ます。DKIMでは、本物の送り主のメールかにあたります
  • 封のシール:途中で開けられていないかを見ます。DKIMでは、途中で中身が書き換えられていないかにあたります

SPFが運ばれてきた場所を確かめるのに対して、DKIMは手紙そのものを確かめます。ここが2つの違いです。

冒頭でお話ししたお客様の例は、ハンコのない手紙が届いている状態でした。
サーバーの管理画面でDKIMをONにする手順で対応しました。

DMARCは不合格のメールの扱いを書いたメモです

DMARC(ディーマーク)は、住所録の「_dmarc」という名前の行に置くメモです。SPFかDKIMの少なくとも一方が合格し、その結果が差出人の名前(ドメイン)と合っていれば、DMARCも合格になります。

不合格のときの扱いは、3段階で書きます。

書き方メモの内容
p=none特別な扱いはせず、様子を見てください
p=quarantineあやしいメールとして扱ってください
p=reject受け取らないでください

Googleの管理者向けヘルプでは、まずnoneから始めて、認証の様子を見てから強める手順が案内されています。いきなり強い設定にすると、設定漏れのある正規のメールまで届かなくなるおそれがあるためです。

なお、このメモは送り主からのお願いです。最後に扱いを決めるのは、受け取る側です。

3つの検査結果はGmailの「原文を表示」で見られます

受け取った側がどう判定したかは、届いたメールから確かめられます。Gmailでメールを開き、右上の「︙」から「原文を表示」を選ぶと、上のほうに結果が並びます。

▼受け取った側の検査結果です。

Gmailの「原文を表示」で、SPF・DKIM・DMARCがすべてPASSになっている結果

これはGoogleのサーチコンソールから届いたメールの結果で、3つともPASS(合格)でした。健康診断の結果票と同じで、検査をしたのは受け取った側のGmailで、私たちは結果を見ているだけです。

迷惑メールに入ったメールでも、同じ手順で結果を見られます。
どこで引っかかったのかを、推測ではなく結果から確かめられます。

「届かない」と「迷惑メールに入る」は見る場所が別です

メールのトラブルは、手紙がどこまで届いたのかで、最初に見る場所が変わります。

起きていること手紙の状態最初に見る場所
自社のアドレス宛のメールが届かない届け先で止まっている可能性がある自社のドメインのMXレコード
送ったメールが相手の迷惑メールに入る相手の郵便受けまでは届いている自社のドメインのSPFとDKIM

ホームページは見られるのにメールだけ届かないときは、ホームページの行き先とメールの行き先が別の行に書かれていることを思い出してください。MXレコードが、今使っているメールサーバーになっているかを確かめます。

ただし、迷惑メールかどうかは受け取る側がいくつもの点から判断していて、SPFとDKIMはその材料の一部です。3つが整っていても迷惑メールに入ることはあり、整っていないから必ず入るわけでもありません。

自動返信メールは「送信元」と「テスト送信」で確かめます

ホームページのお問い合わせフォームから出るメールは、送信元の設定も大切です。送信元が自分のドメインのアドレスになっていないと、SPFやDKIMの確認と合わなくなることがあります。

▼フォームの送信元を確かめる画面です。

お問い合わせフォームの通知設定で、送信元と返信先(Reply-To)の欄を表示した画面

送信元は自分のドメインのアドレスにします。お客様へすぐ返信できるように、Reply-To(返信先)の欄にはお客様が入力したメールアドレスを指定しています。

設定を見直したら、実際にフォームから送って確かめます。お客様役には、普段使っている別のアドレスを入れると、外の人に届いたときの様子が分かります。

▼自動返信が受信箱に届いた状態です。

フォームの自動返信メールがGmailの受信トレイに届いた状態

件名の横に「受信トレイ」と出ていれば、受信箱に入っています。見当たらないときは、迷惑メールフォルダも開いて確かめます。

お問い合わせフォームの対策は、フォームのスパム対策「reCAPTCHA(リキャプチャ)」とは?でもお伝えしています。

制作会社に相談するときは3つを伝えると話が早く進みます

メールの設定を自分で書き換える必要はありません。住所録の書き換えは、ホームページとメールの両方に直接影響するため、まずは見るだけにして、制作会社やサーバー会社へ相談するのが安心です。

相談するときは、次の3つを伝えると原因を絞りやすくなります。

  • 何が起きたか:届かないのか、迷惑メールに入るのか
  • どのメールか:お問い合わせの通知か、自動返信か、普段の送受信か
  • いつからか:最後に正しく届いた日と、最近変えた設定

「原文を表示」の結果もあると、さらに話が早く進みます。
画面を撮って渡すときは、メールアドレスなどを隠しておくと安心です。

よくある質問

Q
3つとも設定すれば、迷惑メールに入らなくなりますか?

A

入らなくなるとは言い切れません。迷惑メールかどうかは受け取る側が判断していて、3つの設定はその材料の一部です。

Q
小さな会社にもDMARCは必要ですか?

A

Googleのメール送信者のガイドラインでは、すべての送信者にSPFまたはDKIMを求めています。DMARCを求める対象は、1日5,000件以上を送る送信者です。

メールの使い方によって判断が変わるため、設定するかどうかは制作会社やサーバー会社へ確認してください。

Q
Digで調べると、設定が変わることはありますか?

A

変わりません。Digは住所録を読むだけの道具です。

まとめ

  • SPF・DKIM・DMARCは、届いたメールが本物かどうかを受け取った側が確かめるための3つの設定です
  • SPFは「この郵便局から出します」の宣言、DKIMは封印のハンコ、DMARCは不合格のときの扱いのメモです
  • 「届かない」はまずMXレコード、「迷惑メールに入る」はまずSPFとDKIMを見ます
  • 検査の結果は、Gmailの「原文を表示」で確かめられます
  • 3つが整っていても迷惑メールに入ることはあるため、フォームはテスト送信まで確かめます

メールの設定は、ホームページの公開後に気づきにくい場所です。skymotherのホームページ制作では、ドメインやメールの設定まで含めてご相談いただけます。

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